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このコレクションの新建築は、光と空間性を印象的に扱った建築だったが、
そのオープンまでは大変な論議がなされ、『ベルリンで一番議論された新建築』とまで言われてしまっていた。
問題になったのはまず、建物自体。というのも、この建物、ナチスドイツで非常に重要な意味を持っていた権力の中心ともいえる建物。 建物自体が、ドイツ国民に忘れがたい過去を思い出させる顔を持っているのである。 その過去を見せながら、新しい始まりを予測させるような建物を作りたい、というのが建築家の意図であったらしいが、 古い建物と新しい建物、ガラスとセメントを組み合せた新建築は建築費がかさみ、 オープンまでの時間が延長につぐ延長を重ね、出来てみたら、なんだかダメな作り。 私が見に行った時も、例えば、上に上がる階段部分の作りは全然仕上げがなされておらず(左写真)大丈夫?と思ったり。 オープニングをすませてから1ヶ月程閉館なのも、変なの、と思ったが、 もしかしたらこういった細かい所の仕上げを済ませるつもりなのかもしれない、と余計な勘ぐりをしてしまう。 展示場所は入口から入った所に見えるゴージャスで複雑なガラス建築にまったく関係なく、ただのホワイトキューブ。 ちょこちょこっと以前の建物が残されているのも、わざとらしい。 せっかくガラスをこんなに使ったキラキラ建築を計画して、中入ったらこれだけですかい、と私もちょっと肩透かしを食った。 新聞等でもオープン後の批評では悪口を書かれまくってたが、これはちょっとしょうがないかも。 建築は、ボンにある旧ドイツ連邦議会ビルに本会議場を建築したギュンタ−・ベーニッシュ。 |
今回のアート、何故耳でアート!にしたかというと、
耳をすませる作品が、このアカデミー・デア・キュンステのオープニング展示にセレクトされていて非常に楽しかったからと、
建物には目をつぶって・・という意味がある。ま、そんな事はどうでも良いか。
オープニング展示“プロローグとミッション・オブ・アート”では Olafur Eliasson 等10名の国内外のアーティストが『空間と場所』というテーマに挑むというもの。 オラファの作品は鏡とライトを使った、まるで月食か何かを見ているような美しい作品。 『空間と場所』というテーマで、この新しい美術館の空間を味わう事を考えて作られていた作品だったのは、 Christina Kubischのエレクトリカル・ウォークス。 ヘッドフォンを渡してもらい、アカデミーの地下に入って行く作品だ。 そのヘッドホンはラジオみたいな?日常生活に溢れている電気を聞き取れるヘッドホンで、 建物の中に血管のように張り巡らされ、送られている電気の流れが、空間が観客を包み込む。 良い! この作品は、そのヘッドフォンを貸してもらって、アカデミー周辺を散歩することも出来たので、さっそく友達3名で体験することにした。 アカデミーを出て、地下鉄に乗ろうとすると、キューン・キュキュ・ゴー・・・・ピューン・・。 アウディのショールームの大きなスクリーンの不思議な、遠くで嵐を聞くような音。 スーパーのセキュリティシステムに耳を近付け、うろうろしていると、店の人達が、一緒になって、何?って感じでついてきた。 (かなり怪しい人達だったと思う 面白かったのはアメリカ大使館の回りだ。 セキュリティシステムがすごいので、高い微弱な音、掠れ声みたいな音、ひっかかるような音がミックスされていた・・! なんか、ずーっと小さい音で変わったテクノを聞いてるような感じ? 散歩コースとして、一応地図をもらっていたが、どんどん別の所も行ってみる。市電に乗ったり、買い物してみたり。 3時間くらいもうろうろして、やっと美術館に帰って来ました。その後、ヘッドホンを外したら、 普段聞こえる音がうわっと耳に迫ってきてびっくり。 すごく面白い体験だった。 自分達の回りにあんなに電気が流れてるなんて思わなかったし、なんだかその呼吸みたいな音をきいてると、 何か目にみえないものにとりまかれているのを感じた。 この作家さん、東京ではICCで展示を行っていたらしいが、東京だったらベルリンとは比べられない程のネオンライトにガンガン電気が流れている。 大きなスクリーンなんかそこら中にある。 また全然違った体験になったのではないだろうか。 ぜひ、このヘッドフォンを持って、世界中を旅してみたいと思わされた作品。素晴らしい! この作品1つのためだけにでも、アカデミーに行ったかいがあった! 建物がだめでも、展示が良ければ良い。頑張って良い作品をセレクトして欲しいものです。 |
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