本来、メッセというのは売るための場なので、ギャラリーは買いやすい絵画や写真を中心に出品してきます。
しかしベルリンではパフォーマンスあり、芸術家団体の出品あり、コンセプト展示だけのまであり、他都市のアートメッセより、売る行為に重点を置いていないように思われました。
派手にやってコレクターの興味をひき、名前を知ってもらうというのが他の都市よりココではけっこう重要視されているのかもしれません。
その中でも人目をひいたのが、あるデュッセルドルフのギャラリーの展示。まったく値段の付いていないブースに、なにやら奇妙な形のイスと机と、茶色い絵と彫刻。
最初通った時には全部を見ようと早足で歩いていたので素通りだったのですが、もう一度回った時に、何故かそこに人や取材陣が集まっていてたので、なんだろう?
とよくよく近寄ってみてみると、なんと、そのギャラリーブース全てがお菓子だったのです!
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招待客の中には子連れも多く、
子ども達は大喜びで せっせと作品を“味わって”いました。 このテーブルと、上に置いてあったコップまで飴製! 虫歯になりそうです。 |
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なかなか美味しかった壁と絵。
この後1時間くらいしてまた来たら、
このチョコレートの絵は
8割方無くなっていました。
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まるでヘンゼルとグレーテル!
壁はちょっと和菓子の松風に似たケーキみたいなものに砂糖衣(これが一番美味しかったので、私はそこにいた人と協力してバリバリと大幅に引き剥がし、存分に作品を“味わい”ました!)絵だと思ってたのはチョコレートと飴、机と椅子は飴、彫刻は巨大なチョコトリュフ。そこに群がり、オープニングで無料のワインを片手に壁を壊し、彫刻をねじ切り、絵を叩き割って食べる人達。食べられる作品だということも面白かったですが、その周りにたかっている人達の表情や行動の方が面白かったです。メッセのオープニングで、洒落た格好をしているのに、飴の机を叩き割ろうと必死になっている人とかも居て、これが実はアーティストの意図かなあ?と思いました。ちなみに、これを作ったのは、ソニヤ・アルホイザーという30代のアーティスト。これ自体は売ることはできなかったのでしょうが、色んな局のニュースでも報道され、たくさんコレクターの人が(食べるためだけでなく)来て、すごい宣伝効果があったと思います。同じギャラリーをケルンのメッセで見かけましたが、まったく普通のブース、食べられる作品は片隅に一つあるだけで、絵画をメインにしていました。
ベルリンとケルンのメッセに出品する際のギャラリーの心構えの違いをはっきり見た気がしました。
(この文章は2000年秋、mienai-tenMLのために書かれた文章を訂正加筆、写真を加えたものです。)
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