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映像のバックに流れるのはドラマチックな音楽ではなく、
アーティストがドン・デリロスという作家の2つの小説からインスピレーションを受けたというどちらかというとポップな音。
ハイジャックされた飛行機から乗客が滑り台で脱出したり美人スチュワーデスさんがにっこり乗客にサービスする時は楽し気な音楽が。
そんな音が時々突然さえぎられ、テロリストの要求や人質の声が入ります。 コマーシャルに細切れにされた遠い国の戦争をTVで見ているような感覚。リアリティのない不安感と安心感。 |
映像の多くは英語で、音質が悪いので聞き取るのが少々大変。耳よりも目を全開にしてくいいるように映像をみていた私の耳に、突然日本語が流れ込んできてびくっとしました。
70年3月に起こった、日航機のよど号ハイジャックの映像のようです。巨大なパンダぬいぐるみをひきずりながら手をひかれてよちよちとタラップを降りてくる小さな女の子。インタビュー。光るフラッシュ。日本語。 今までどこかリアリティの無いものとして見ていた、美術館の中の“ビデオインスタレーション”が突然自分のリアルに入り込んできたのを感じ、ちょっと体が震えました。自分がまだ生まれる前に起こった出来事。雑誌や写真、ニュースなどで見たことしか無い事実にもかかわらず、リアルなものとして私に切り込んできたのです。 リアルとリアルじゃ無いモノの間を漂うニュース映像、メディア。そのメディアをうまく使った素晴らしい作品だと思いました。ぜひ機会があったらゆっくり時間をとってみてみて下さい。 |
![]() “Dial H-I-S-T-O-R-Y”より |
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