オラニエンブルガー・シュトラーセはベルリンに来た当初からよく歩いた馴染み深い通り。
常に変化しているのだが、変化の具合が似通っているからあまり変わらない印象を受ける。
最近は、歩道にあふれる観光客のため、歩道拡張工事中。一時前はアジアレストランブームで、ADERMANN等の高級レストランがばたばた潰れ、
スシ屋やアジア風インビスがにょきにょき進出。
さらにその前はちょっと、ギャラリーとかが増えそうな雰囲気があったが、それは裏通りになった。
変わらずに常に強いオーラを出しているのは、金色玉ねぎ型のシナゴーグくらいだ。 さて、この通りを初めて夜歩いた時に驚いたのは、道に立っている売春婦のお姉さん達だ。 お姉さんったって私より若そうだけど。 夜になりかかる頃、ここらを歩くと、こってり化粧につけたての香水の匂いをまき散らしながら、10センチはあるピンヒールのブーツと、 エナメルのコルセット(これが“風と共に去りぬ”のヴィヴィアン・リーより細いくらいに締め付けてある。)付ボディスーツを身につけたお姉さん達が出勤に出かけるのに出会う。 そう、この通りは売春が公的に許可されている通りなのだ。 通りが広いのと、売春婦の人達の服装がセクシーというよりキッチュな感じだからか、ハンブルクのレーパーバーンやアムステルダムのような淫靡な感じはない。 彼女達、冬になるとさすがに寒いのか、スキーウェアの上下にブーツ、ウェアの上からぎゅうぎゅうにコルセットを締め付けて道に立つ。・・・セクシー? ドイツ人も多いようだが、ロシア人とかチェコ人らしき人達も良く見かける。 客との交渉を英語と片言ロシア語でやっていたから、ロシア人だ、とわかった。 こういった通りは他にもいくつかあるが、売春婦でも政府に決められた職業として、ちゃんと定期検診等があったり、健康保険や失業保険を受けられる、と聞いた事がある。 春を売買することには反対だが、売春婦という商売が存在しているからには、なんの保証もない状況に追いやるより、きちんと税金を取り、代わりに保証もする、というのは良いと思う。 さて、テレビ塔に向かって右側の道には、緑たっぷり、夏は市民の憩いの場となるモンビジュー広場があって、それから、巨大な廃虚が放置されたままになっている。 これは電信電話局の跡地で、広すぎて借り手もなく、取壊すのはもったいないし、お金もない、というわけでほったらかし。 一部には、テアター・ディスカウンターという、オルタナティブスペースがあって、DJナイト、インディペンデントな演劇等も行われている。たま〜に面白いのもやっている。 ベルリンは、こういった巨大な廃虚が、いまだに街の中心部にぽっと現れるのが面白い。この通りには旧郵便局があり、ここはアートイベントの会場として良く使われている。 ベルリン・ビエンナーレの会場となった時に初めて入った。普段は閉め切っている。 そんな廃虚のすぐ横にはビカビカのシャンデリアが飾られた観光客向けカフェバーなんかがある。 ボロボロの建物と、観光客向けっぽいピカピカに直されたばかりのカフェバー、レストラン、キッチュなアジアレストランが共存しているのが、この道の典型的な風景。 私も、天井が高くて心地よいCafe Orange 、わりと美味しいタイ料理KAMALAとか嫌いじゃなくて、 ギャラリー巡りの後は立ち寄ったりしてたけど、最近、それらの周りにギラギラしたデザイン家具屋とか、カフェバーが出来て、 なんだか居心地悪くなってしまい、最近は大通りから一歩入った小道にあるカフェとかに行く。 語学学校に行ってた頃は、AMRITというインド料理の店にランチセットを食べに行った事もあったけど、ここは全く行かなくなってしまった。 味もちょっと落ちたし、店がなんだか落ち着かなくなった。 オランニエンブルガー・シュトラーセがこれからどう変わって行くのか。無駄な心配をちょっとしてみた。 |
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